「罠」に簡単に引っかからないようビジネスで「交渉」する前に気をつけたいこと

 

ビジネスにおける「交渉」とは・・・。

交渉、一言で言えば、

「異なる立場のものたちが、話し合いによって、妥結するためのプロセス」

のことです。

相手が目標を共有するパートナーであれば、信頼しあって前向きに話をすすめることができます。

 

ところが、利害が相反する関係であれば、必ずしもそうはいきません。

「誠心誠意、話せば分かる」相手ばかりでは、ありませんからね。

交渉では、できるだけ自分が有利になるように、少なくとも想定以上に不利にならないよう話し合いを進めます。そのためのメソッドは確立しています。

 

それとは別に、交渉者間である種の「心理戦」が展開されるわけですが、相手によっては、「罠」が仕掛けられているケースがあるかもしれません。

簡単に「罠」に引っかからないよう、少しですがその具体例を紹介したいと思います。

 

具体的な事例

セールスマン等のテクニックとして、「フット・イン・ザ・ドア」や、「ドア・イン・ザ・フェイス」などがあります。

さて、こちらで紹介するのは、もっともっと「ベタ」な仕掛けです。

項目は、以下の3つ。

  1. 相手のエリア内で交渉する
  2. 交渉場所に遅れて入る
  3. 交渉開始時から一方的に話をする

これらは、主導権が仕掛けてきた相手にあると思わせる方法です。

 

1.自分のエリア内で交渉する

自分が慣れ親しんだ「ホーム」と、勝手の分からない「アウェー」。どちらが心理的に優位に立てるかは、明らかです。

相手のオフィスで打ち合わせを行う場合、その時点で、心理的に不利になっています。

ただ、ビジネス慣習上、立場が下の者が上の者のところに”足を運ぶ”のが一般的ですから、それこそ「打ち合わせ場所を決定するための交渉」は、ほとんどできないかもしれませんね・・・。

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2.交渉場所に相手よりも遅れて入る

宮本武蔵と佐々木小次郎の対決では、武蔵が待たせることによって小次郎をイラつかせ勝利した、となっています。

このように意図的に待たせることで、心理的な揺さぶりをかけてくることがあります。

あわせて、遅れてくるということは、相手はあなたの時間を「強制的に奪っている」ことになるわけです。

 

ここで、「奪う者」と「奪われる者」という立場の差が発生します。当然ながら「奪う者」のほうが、立場は上ですよね。

逆に、立場が上の者は、相手を待たせる権利・権威がある、との認識もありますし。

このように、相手が遅れることによって、あなたは自然と相手よりも下と意識してしまうのです。

 

3.交渉開始時から一方的に話す

遅れて部屋に入ってきた相手は、挨拶もそこそこに、一方的に話を始めます。

しかも、話す内容は「相手の都合の話」。

こちらは心理的に動揺している上に、唐突に交渉が始まってしまいますから、手を打つタイミングを逃し、良いようにやられてしまうのです。

このように会話の主導権を握ることによって、相手は交渉の主導権も得ようと仕掛けてきます。

 

どうすればよいか

上の1から3への対応策として、私が取っている行動は、下記の通りです。

まず、「自分は今、相手のオフィスにいるので、心理的に不利である」ことを自覚します。

これが出来ていれば、変に浮き足立っても、その原因が分かっている分、落ち着きを取り戻しやすくなるのです。

 

次に、室内では「待たされている間、窓辺に立って、外の風景を眺める」ようにしています。

相手が期待しているのは、こちらが待っている間にイライラすることです。

そして、それを確認したとたん、着席しながら話を開始し、自分のペースに巻き込もうという魂胆なわけですよね。

 

これに対しては、失礼のない形で、相手の出鼻を挫くのです。

窓辺に立って、ゆうゆうと外の景色を楽しみます。「待たされている」イライラは少なくなります。

また、立って待つ、というのは相手に敬意を示す待ち方ですので、大きな失礼にはなりません。

(本当は、座るべき椅子のそばで立って待つのが礼儀ですが・・・、相手は遅れているので、その間、少し立つ場所を移動した、という受け取り方をされると思います)

 

次に、相手が入室しても、落ち着いた風情で、しばらく窓際に留まります

これを見て「なんだ、落ち着いているじゃないか・・・」となります。

さらに、相手は、歩きながら挨拶と遅れたお詫びをしますので、当方も挨拶を返しつつ、

「ところで、あちらで建設中の建物は何なんですか?」

といった感じで、景色の話題をふるのです。

 

このとき、相手がどの建物かを確認するために窓際まで来れば大成功です。

来なくても、建物について何らかのリアクションを取らざるをえませんし、こちらはまだ、着席していませんので、一方的に話を始めることは難しくなります。

 

なお、窓がない部屋の場合は、部屋の隅で立って携帯電話で話しをする、あるいは、話しているフリをします。

相手が入室してくれば、当然、携帯電話を切りますが、少なくとも「あ、今、お見えになったので、この件は、のちほど。よろしく」ぐらいの会話は許されます。

これで、インターバルを稼ぎ、「ああ、すいません。急ぎの電話でしたので」と自分から話の口火を切れば良いのです。

 

まとめ

今回は、交渉に臨む前に仕掛けられているかもしれない「罠」と、その対処法について記しました。

ここで紹介した「罠」ですが、もしかしたら自分で使ってやろう、と思った人がいるかもしれませんね(笑)。

もちろん、ご随意に、ということですが、私はあまりお薦めしません。

 

というのも、相手がこの「罠」と「返し技」を知っていた場合、仕掛けたつもりが逆にやり返される、ということになるからなのです。

やられた相手にとっては、「罠」だと知っているだけに、「喧嘩を売ってきた」と捉えますよね。

ガチンコの交渉をやろうとしていた相手であれば、尚のこと

「小手先の技を使うとは、なめやがって」と、容赦なく返してくるでしょう。

それは、交渉そのものをハードにしてしまう、ということを意味します。

 

四苦八苦したあげく、想定以下の悪条件を押し付けられるリスクを高めます。

なぜなら、相手はあなたを敵とみなし、今後、良好なパートナーシップを継続させる気持ちはなくなっているでしょうから、ね。

とにかく、中途半端に使って、大やけどすることだけは、避けたいものです。

 

これら以外にも、いろいろな「罠」というか「小技」があります。

機会があればご紹介したいと思いますが、それはあくまで「知っていることで防御できる」からということをご承知ください。

 

では、また!